「ふれあい体育祭」——知ること、それが理解への第一歩
1987年「ふれあい体育祭」
「自治体連合会と一緒に、誰もが楽しめる体育祭を開催できないだろうか」——そんな声をきっかけに、北区社会福祉協議会を通じて、学区のふれあい推進委員会と話し合いを重ねました。
そしてついに、地域ぐるみでの「ふれあい体育祭」が実現しました。
この体育祭は、学区・社会福祉協議会・婦人会など、地域のあらゆる団体の協力のもと、実行委員会を立ち上げ、準備から運営までを地域と一体となって進めた取り組みでした。
テーマは
「知ること、それが理解への第一歩」
参加者はアイマスクや車いすを使った競技を通じて、障がいに対する理解を深める貴重な体験を得ました。
当日は300名を超える地域住民が参加し、大いに賑わいました。
この取り組みは他の学区にも広がり、翌年以降も場所を変えて3回開催されました。
チラシに記されたメッセージ
「手をつなぎ みんなで大きな輪をつくろう」
いつもとはちょっと違う体育祭をやってみようと思います。
障がいのある人も、お年寄りも、元気な子どもたちやお父さんお母さんも、
みんなが楽しめて、そしてお互いのことがもっとわかりあえる体育祭にしたいと思っています。
地域の協力と運営
地元商店街や企業の協力を得て、チラシへの広告掲載を通じた寄付で運営費をまかないました。
当日は、盲福研や自治体連合会の皆さんが早朝からテント設営やライン引きを行い、運営・審判・模擬店・後片付けに至るまで、多くの人の力で支えられた体育祭となりました。
参加者の声より
- 初めて車いすに乗って前に進むことの難しさを体験し、障がい者の方々の苦労を実感した。
- アイマスクをつけて音を頼りに走る体験で、視覚の大切さをあらためて知った。
- 「やればなんでもできる」という障がい者の生命力に、勇気をもらった。
- 見えない人、手話を使う人、車いすで競技に臨む姿に感動した。
- 笑顔があふれ、「知ることにより理解が生まれる」という体育祭の意義を実感できた。
当日のプログラム概要
- 開会式(9:30)
- 開会宣言(市社会福祉協議会)
- 挨拶(大会長・地元代表)
- 日程紹介(盲福研)
- 選手宣誓(身障連)※手話通訳つき
- 主な競技例
- 女子400m競走:見える者と見えない者のペア。子どもも含めて4組。
※スタートとゴールは音と動作(ピストル・旗)で認識可能に - 車いす200m競走:体験参加も含む
- 音響玉入れ:見える者が玉を拾い、見えない者がラジカセ音を頼りに投球
- 50m走(視覚制限・車いす)
※ゴールは音(フライパン等)で知らせ、監視員が声かけ誘導 - ―昼休み企画―
盲導犬デモンストレーション(訓練士による解説と実演) - 点字読み宝探し
※掲示された点字50音表を手掛かりに封筒内カードを解読 → 指定された品物を箱の中から手探りで探す車いすざる引き走 - 子ども綱引き
- 女子400m競走:見える者と見えない者のペア。子どもも含めて4組。
- 閉会式(15:30)
- 成績発表(体育振興会)
- 優勝旗授与(大会長)
- 閉会の言葉(盲福研)
- 全員合唱「今日の日はさようなら」
この体育祭は、障がいのある人と地域の人たちが「出会い、ふれあい、理解する」ことを目的とした新しいかたちの行事でした。
「ちょっと違う体育祭」は、笑顔と学びにあふれる1日となり、多くの人に気づきと希望を与えてくれました。