車いすユーザーへの支援

電動車いすの視覚障がい学生・Kさんへのスクーリング支援

2011年夏、視覚に障がいがあり、電動車いすを使用されているKさんが、京都の大学のスクーリングに参加されました。

アイヘルでは、11日間にわたり、二人一組の体制で支援を行い、延べ44人が活動に参加しました。Kさんが滞在先の「うたのユースホステル」と佛教大学との間を毎日往復される行程を、朝夕それぞれサポートしました。

移動には市バスを利用しましたが、乗降時の段差や電動車いすの固定作業など、乗務員によって対応にばらつきがあり、毎回が新しい対応の連続でした。Kさんの電動車いすは古く、坂道ではジグザグに慎重に登る場面もありました。

Kさんご自身もこう振り返られています。

「スクーリング受講にあたり、準備から終了後まで、ユニーズの皆さまには本当に感謝しています。それにもかかわらず、私の生活の中で連絡が滞ったり、準備不足や学校に行ってから気づいたことも多く、ご迷惑をおかけしてしまったこと、申し訳なく思っています。それでも辛抱強く待ってくださり、さりげなく、明るく寄り添ってくださったことが本当にありがたかったです。」

支援は、Kさんが話すことができないため、膝上のノートパソコンを介した文字によるやりとりで行われました。声ではなく、文字と表情、動きで伝え合うコミュニケーションは、Kさんとアイヘルのあいだに特別な信頼を育んでいきました。

「バスの中で人数が多いことを生かして、楽しく談笑できたことは、勉強で疲れた頭をやわらげ、京都の情報を得るうえでも助けになりました」とKさん。
一方で「車いすの固定方法や、ホテルからバス停までの坂道の問題など、利用者の側からも改善の声をあげていかねばと思いました」とも語られています。

支援に関わったアイヘルの中には介護経験者もいれば、初めて視覚障がい者と接する人もいました。互いに手探りで始まった関係が、11日間の中で少しずつ変化し、共に歩く信頼関係へと育っていったことは、何よりの成果でした。

Kさんはこうも綴られています。

「今回のスクーリングでは、自分の力不足により、アイヘルパーの皆さんと対等に関われたとは思えません。意識する余裕もないのが正直なところでした。でも、来年はこの反省を活かし、よりよい準備をして、公共機関も巻き込んだ支援体制をつくっていきたいと思います。」

このことばは、支援する私たちにとっても大きな励ましとなりました。
『支援したというより、共に考え、共に悩み、共に笑い合った11日間』
Kさんと交わしたことばのひとつひとつが、これからのアイヘル活動の指針となります。

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