囲碁点訳と交流

見えない者がどのように囲碁を楽しんでいるか

囲碁の碁盤は通常、縦横19本の線が引かれていますが、視覚障がい者が使う碁盤では、この線が盛り上がっていて、石の位置を指で触って確かめられるようになっています。碁石の底面には十字の切れ込みがあり、線の交点にはめ込むと石が動かない仕組みです。黒石には小さな突起があり、白石はつるりとしているので、指先で色を判別できます。

対局の際は「黒3の4」「白6の3」などと、縦線を左から右へ、横線を上から下へ数え、位置を言葉で伝え合います。

私と囲碁の出会い

私が囲碁を始めたのは70歳を過ぎてからです。何も分からないところから指導の先生や先輩に教わり、9路盤を使って文字通り手探りで第一歩を踏み出しました。少しルールが分かってくると、いろいろな人と対局してみたくなります。近所の「ぽかぽか茶屋」で囲碁を趣味とする方と知り合い、さらに学びたいと思うようになりました。

しかし、19路盤を日常的に使っている方にとって、9路盤は少し物足りないもの。そこで、13路盤にも挑戦しましたが、当時は点字や音訳の参考書がほとんどなく、学ぶ環境は十分とはいえませんでした。

囲碁参考書の点訳への挑戦

ユニーズではアイヘル講座の中に「点字のお勉強」という時間を設けていますが、そこで興味を持った人が点訳講習会に参加し、一定レベルに達した数名が現れました。私は「囲碁の点訳をしてもらえないか」とお願いし、囲碁の知識がない方にも協力をお願いしました。

その結果、「NHK囲碁シリーズ 初段を目指せ」を中心に約10冊を点訳(besデータ)していただきました。実際に碁石を並べて校正を行い、何度も手直しを重ねました。専門家による完全な校正ではありませんが、基本的な内容は十分に網羅されており、学びたい方には有用な資料になると思います。ここで紹介しますので、興味のある方はダウンロードしてご利用ください。

ファイルは「囲碁・点訳参考書をご活用ください」からダウンロードしてください。

交流と広がり

最近では、視覚障がい者で囲碁を楽しむ人も増え、9路盤で力をつけている方、19路盤で腕前を発揮している方、さまざまです。私のように初心者には13路盤がちょうど良いステップになります。

「ぽかぽか茶屋」で出会った方を通じて講談社に依頼し、京都ライトハウスで行われる囲碁サロンの指導者を迎えることができました。そのお力を得て、3年前から「13路盤全国大会」を京都で開催しています。

囲碁を通じて、見える人も見えない人も一緒に楽しめる場と時間がさらに広がることを願っています。

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