京都府立視力障害者福祉センターの行動支援をめざして
京都府立視力障害者福祉センターは、視覚障がいのある方が、あん摩マッサージ指圧師やはり師などの国家資格取得をめざす養成機関であり、就労支援や施設入所支援などを幅広く行っている障害者支援施設です。
しかし、ここに入所している方々は、公的な同行援護の対象にはなっていません。
そこでユニーズ京都では、2013年にセンターを訪れ、入所者の行動支援を申し出ました。入所者には全盲の視覚障がい者もおられ、センター側から呼びかけてもらうことになりました。
申し込み方法は「おこしやす京都」の実施要項に準じ、買い物や通院、帰省先の最寄り駅までのサポートなどに対応。「おこしやす」の窓口に直接申し込んでもらうかたちです。
スタートしてみると、「これまではどうしていたのだろう」と思うほど、数人から申し込みがありました。
関東地方から国家資格取得をめざして入所された方は、3年間の在所期間中に京都の観光を大いに楽しまれました。
また、モンゴルからの留学生・Tさんも、何度かアイヘルパーと一緒に行動され、ユニーズの例会にもお招きしてお話をうかがいました。
Tさんは、12歳頃より緑内障が悪化し、数回の手術を経て、現在は明暗がわかる程度とのことです。全寮制の学校に入学されたことで、身の回りのことは自分でこなす自立心が養われたそうです。
ご家族やご友人の協力で教科書の音読などの支援を受け、ジャーナリストを志して大学を卒業後、アナウンサーとしても活躍されていました。その後、留学試験に挑戦され、見事合格。4年前に来日されました。
来日後に困ったこと・驚いたことは、「日本語」「食事」「お風呂」。来日時は全く日本語が分からず、大変なご苦労をされたようですが、人の何倍もの努力を重ねられ、今では綺麗な標準語に近い日本語で日常会話ができるようになられました。
モンゴルでは、夕食は牛・羊・馬肉を塩味でしっかり食べる一方、朝食や昼食はあるもので軽く済ませるそうで、日本の三食に驚かれたそうです。ご飯は塩で炊くのが一般的で、魚介類は食べないとのことでしたが、今ではお米本来の味が美味しく感じられ、鮭やツナも好物になったとか。味噌汁やすぐきなどの漬物もお気に入りだそうです。
果物についても、モンゴルではイチゴは7月のみの収穫で、日本のように種類豊富で年中食べられることに感動されたそうです。
また、お風呂については、モンゴルでは一人ずつ浴槽の湯を入れ替えて入浴するため、日本のように大勢で一つの湯船に入る習慣に驚かれたとのことでした。
Tさんはあと1か月で京都を離れ、5月には帰国される予定です。帰国後は、視覚障がい者の学校でマッサージの指導をされ、ご自身でも開業をめざしておられます。残念ながら、モンゴルでは視覚障がい者による鍼灸の仕事は、まだ認可されていないそうです。
それでも、凛とした姿で目標に向かって歩むTさん、そして先輩たちの夢が、いつの日か自国で花開くことを、私たちは心から応援しています。
アイヘルパー活動を通じて、異国の文化や生活ぶりを知ることができる――。貴重な交流の場でもありました。