タンデム自転車の取り組み
タンデム自転車は、「ふたりでひとつの自転車をこぐ」というシンプルなスタイルの中に、移動の自由、風を切る爽快感、そして人とのつながりを感じさせてくれる乗り物です。
ユニーズ京都は、2013年8月15日、京都サイクリング協会(KCA)とともに、「京都府のサイクリングロードにおけるタンデム自転車の通行に関する要望書」を、京都府および京都府警察に提出しました。
当時、公道でのタンデム自転車の走行を認めていたのは、全国でわずか5県。京都府での解禁を目指し、私たちは以下の趣旨で要望を行いました。
要望の趣旨
- 京都府には「八幡木津自転車道線」をはじめとする整備されたサイクリングロードがあります。これらは、自然とのふれあいを通じて心豊かな人間性の回復や健康づくりを促進することを目的としています。
- 二人でコミュニケーションを取りながら走るタンデム自転車は、一人乗りでは味わえない一体感や楽しさを提供する、サイクリングの新たな魅力をもつ乗り物です。
- 視覚障がい者をはじめ、自力で自転車に乗ることが難しい方にとって、タンデム自転車は、自らの力で風を感じながら走る爽快感を味わえる唯一の方法であり、移動の自由と自立の象徴でもあります。
- しかしながら、当時の「京都府道路交通規則」では、サイクリングロード(自転車歩行者専用道路)でのタンデム自転車の通行が認められていませんでした。
- 多くの人が京都府において、より自由で多様なサイクリングの楽しみを発見できるよう、道路交通規則の改正を強く求めました。
その後も、私たちは関係機関との粘り強い対話を続けました。
2014年春、当初予定していた桂川・木津川サイクリングロードでの体験会は府警の指導により実施できませんでしたが、代わりに宝が池公園にてお試し体験会を開催することができました。
3月23日、宝が池の周回遊歩道にて、視覚障がい者17名が参加する『タンデムサイクリング体験会』を実施。KCAの会員や講習会参加者がパイロットを務め、春本番を迎えた宝が池の景色の中を、二人一組で風を切るように走り抜けました。ご夫婦でペアを組まれた方もあり、それぞれの思いを込めたタンデム走行のひとときは、まさに「一体となって走る楽しさ」を味わえるものでした。障がいの有無を越えて楽しめるイベントとなり、心まで温まる春の日となりました。
そして、努力が実を結び、2015年11月、ついに京都府でも公道でのタンデム自転車走行が認められることになりました。
その後初めてとなる公道イベントが、2018年5月27日に実現しました。京都サイクリング協会(KCA)のご協力のもと、「タンデムサイクリング体験会」が開催され、石清水八幡宮を望む背割堤に参加者が集まりました。
集合場所の「さくらであい館」のそばには、この日のために集められた9台のタンデム自転車が並びます。
各自がパイロットとペアを組み、御幸橋から流れ橋まで、往復約10kmのサイクリングへ出発しました。
鶯の谷渡り、電車の音、草野球の歓声、店先から流れる音楽、サイクラーの車輪の音…。耳に飛び込む音が風景を想像させ、前後のペアの会話も弾みました。上り坂では力を合わせてペダルを踏み、久々に味わうサイクリングの爽快感に心が躍ります。
折り返し地点の「四季彩館」では休憩を取り、隣接する石田神社の青もみじの木陰が、火照った身体をやさしく包んでくれました。
振り返れば、2013年に京都府知事と府警本部長へ要望書を提出して以来、KCAの皆さまにはパイロット養成講座や体験会の開催など、さまざまな形でご協力いただきました。この場をお借りして、改めて深く感謝申し上げます。