「ひまある会」・・・時間と場の共有

「ひまある会」は、晴眼者(見える人)と視覚障がい者が、時間や場をともにしながら、互いを知り、理解し合うことを目的に始まった活動です。「ひま あるかい!(ちょっと時間ある?)」と、気軽に声をかけ合える関係を築いていこう――そんな思いから名付けられました。

活動の始まりは1971年春。京都・杉坂方面へのハイキングが第1回でした。そこから、いちご狩り、比叡山登山、琵琶湖畔でのキャンプ、梨狩り、ソーシャルダンス講習会、盲人野球、忘年会など、月に一度は行事を重ねてきました。

これまでにないような企画も多く、回を重ねるごとに視覚障がい者の参加も増えていきました。
なかでも印象的だったのが、琵琶湖畔でのキャンプです。見える人も見えない人も、それぞれにできることを分担しながら、食事を作ったり、薪を組み立ててキャンプファイヤーの準備をしたり。夕暮れの琵琶湖畔、燃え上がる火を囲んで30名以上が輪になったとき、「ここまで来た」という達成感と安ど感が、参加者全員の心に広がっていました。「これが、目指していた“ひまある会”だ」と感じた瞬間でした。

とはいえ、活動の中では時に反省も生まれます。たとえば飯ごう炊さんの下見を晴眼者だけで行ったことがあり、その後「やはり根本のところで共有しきれていないのでは」と視覚障がい者同士で話し合う機会がありました。「一緒に下見から行ってこそ意味があるんじゃないか」と、晴眼者の仲間にも率直に声をかけました。

また、料理教室で巻きずしを切る作業を晴眼者がすべてやってしまったこともありました。包丁を使うのは危険ではないかという配慮からでしたが、視覚障がい者の側からは「それは普段からやっていること。できることまで取り上げないで!」という厳しい言葉が返ってきました。

こうしたやりとりができるのも、「ひまある会」だからこそ。ときにぶつかりながらも、本音を伝え合えることで、互いの理解と信頼が少しずつ深まってきました。

私たちの「あゆみ」は、こうした出会いと対話、そして共に過ごす時間の積み重ねそのものです。

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