点字教室を始めて3年半。
点字図書館に点訳書を納めることのできる第1号の点訳者が誕生しました。
その後も、図書館に蔵書を納められる人や、一定の力量をもつ点訳者が何名か現れました。これらの人たちには、プライベート点訳にも携わってもらいました。
プライベート点訳とは、視覚障がい者個人が所有する活字本や資料を点訳するもので、専門的な内容が多いです。聖書や漢方に関する書物など、他府県からの依頼もありました。また、そのころから一般大学へ進学する視覚障がい学生も現れ、英語の資料を点訳してほしいという申し出にも応じるようになりました。
点訳を依頼した視覚障がい者には、その本を点訳するのに必要な枚数分の用紙代を負担してもらい、点訳者には必要枚数に加えて、打ち損じに使った一定枚数を会から補填しました。
点字書を購入しようとすると、活字書の数倍の費用がかかります。手元に置いておきたい点字書は、ボランティアによる点訳に頼らざるを得ないというのが実情でした。
その後、「価格差保証」という制度ができ、活字書と同じ価格で点字書を購入できるようになりました。ただし、さまざまな制約があり、申し出る市区町村によって対応が大きく異なっていました。
視覚障がい者の文字環境は、タイムリーに情報を得にくいという課題があります。そこで、毎週「ミドルウイーク」という小冊子をライトハウスのロビーに置き、市内のコンサート情報や新聞・週刊誌などからの切り抜きを点訳して紹介しました。
また、1985年4月には、千本北大路バス停6カ所分の全系統時刻表を点訳し、ライトハウス事務所に設置しました。その他にも、盲学校小学部向けに児童書の点訳を行いました。
ボランティアの点訳には、それぞれの人柄が表れます。レイアウトや点字の出方、点の形にも個性があり、規則どおりにしっかりと打つ人、やさしさが六つの点から浮かび上がるような人もいます。読み手には、指先を通して点訳者の心が伝わってくるのです。
