子供ひまある会

小さな子どもたちにとって、動物園へのお出かけは楽しみのひとつです。
視覚に障がいのある子どもたちも、それなりの楽しみ方はできているでしょう。
でも、もっと深く、もっと心から動物園を楽しめたら——。実際に動物に触れて、その大きさや毛並み、顔やしっぽなど、全体像を手で感じ取ることができたら、どんなに嬉しいことでしょう!

そんな思いを胸に、私たちは京都市・岡崎動物園に出かけ、担当の職員の方にその願いを熱心に伝えました。
「ダメもと」と思っていたお願いでしたが、想いはしっかりと受け止めてくださり、ついに現実となったのです。

1983年5月、動物園の休園日。視覚障がい児とその保護者、盲福研のメンバーとその子どもたち、あわせて50名が特別に入園を許可されました。

まずは、ゴリラの「京太郎」。帽子をかぶり、職員の方に抱っこされているところをみんなでそっと触らせてもらいました。
次は、ボールニシキヘビ。私自身、少し怖さを感じながらも手を伸ばし、まるく静かに身を丸めたヘビの、ひんやりとした、さらっとしたござのような手触り——今でも鮮明に覚えています。
そして最後に、子象に触らせてもらったとき、親象が悲しげな声を発しました。あの声は、めったに聞けない貴重な体験でした。

見える子も、見えない子も、手を取り合いながら動物たちと向き合う姿。
「本当にやってよかった!」という思いと、私たちの願いを実現してくださった職員の方への感謝の気持ちでいっぱいでした。

この動物園での体験をきっかけに、今度は府警本部と上京消防署を訪ね、パトカー、白バイ、消防車、起震車、救急車など、実際の車両に触れたり、乗せてもらえないかとお願いしました。
ミニカーでしか見たことのない車の本物の迫力を、子どもたちに体験してほしかったのです。

1984年2月、当日。実物に乗せてもらいながら、車両の全体像や各部の構造を、手でしっかり触れながら、丁寧に説明していただきました。
対応してくださった職員のみなさんの、親切で温かな姿勢がとても嬉しかったのを覚えています。

また、踏水会に関わっておられる方のご紹介で、4歳から10歳の視覚障がい児十数名が、水に慣れることから始めて、バタ足ができるようになるまで、数回にわけて指導を受ける機会もいただきました。

見える子も、見えない子も、一緒に手を取り合いながら、笑顔で楽しむ姿。
「子どもひまある会」が、これからも未来へとつながっていってほしい——そう願っています。

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