駅構内でのサポート
私たち一人ひとりのちょっとした心配りが、視覚障がいのある方にとって大きな安心につながります。駅構内で出会ったときに、どんなことが助けになるのか、いくつかの例をご紹介します。
改札口で
最近では、駅の改札口も無人のところが増えてきました。障害者手帳を使うときは「有人改札」を利用することが多いですが、無人改札しかない駅もあります。そういった場所では、改札の近くに設置された「係員呼び出しボタン」を圧してから手帳をかざして、駅員の対応を受けることになります。
しかし、初めて利用する駅などでは、その装置がどこにあるのか分からず、困ってしまうこともあります。そんなとき、「お困りですか?」と声をかけていただけると、とても助かります。
また、有人改札を通るとき、駅員の方から「ありがとうございます」と声をかけてもらえると、「ちゃんと手帳を確認してもらえた」と安心できます。逆に、声がけがないと「通れているのか不安」になることもあります。
ときどき駅員の方から、「このホームにはエレベーターがなくて申し訳ありません」と言われることがあります。見えない方にとっては階段やエスカレーターが危ないのでは、と気遣ってくださっているのでしょう。
もちろん、足腰が弱くなってくるとその通りですが、多くの視覚障がい者にとっては、エレベーターより階段やエスカレーターの方が使いやすいこともあります。
というのは、エレベーターは、ボタンの場所を探したり、どの階に着いたのかがわかりにくかったりするからです。その点、階段は段数を覚えておけば、安心して上り下りできます。エスカレーターも、つま先を少し上げて移動すればスムーズに乗ることができます。
ただし、上りか下りかの判断は重要なので、方向を間違えていそうな人を見かけたときには、「それは下りです」などと声をかけていただけると、とても助かります。
駅のホームで
ホームの上、特に「島式ホーム(両側に線路があるタイプ)」は、視覚障がい者にとってまるで「欄干のない橋」のような場所です。実際、視覚障がい者の二人に一人が、ホームからの転落を経験しています。
たとえば、ホームに行列ができていたり、階段やエスカレーターの出入口がホームの中央にあると、線路の近くの狭い場所を通らなければならないことがあります。そのとき、方向感覚を失って線路側に落ちてしまうこともあるのです。
もし、そうした状況に出会ったら、「線路が近いですよ」と、軽く手や肩に触れるなどして、相手に「あなたに伝えています」ということが分かるように教えてあげてください。
混雑している中でも、少しだけ余裕があるときには、視覚障がいのある方を見かけたら、「どちらへ行かれますか?お手伝いしましょうか?」と声をかけていただけると、とても助かります。
乗りたい電車の乗車口や、階段・エスカレーターの入り口など、目的地まで安全に誘導いただければ、安心して移動することができます。
「ちょっと声をかけてみる」ことが、誰かの大きな助けになります。駅という日常の中で、見えにくさを抱える人にも安心・安全な社会を、ともに育てていきましょう。
